ゲーム制作

クリック探索ゲーム『かくしてボクら兄妹は』の制作秘話・攻略法

年1ペースでゲームを作っています。moz(もず)です。

2019年に作ったクリック探索ゲーム『かくしてボクら兄妹は』の制作秘話・攻略法をつらつらと書いていきます。

ゲーム自体は30分程度で終わる簡単なものです。プレイ後に以下をお読みいただけると、より「なるほどね〜」感は増すかもしれません。

※以下にはフリーゲーム『かくしてボクら兄妹は』のネタバレが含まれます。

『かくしてボクら兄妹は』のあらすじ

病気のため長い間眠っていた妹がようやく目覚めた!

……と思ったら、兄であるボクの記憶をすっかり失っていた!

妹はボクを不法侵入のヘンタイと思い込んで、今にも家を追い出されてしまいそう。。

どうにか兄と信じてもらいたいけど、家の中には妹に見られたら都合の悪いアレコレがいっぱい!

うまく隠して妹の記憶と信頼を取り戻せ!

……というクリック探索ゲームです。

「隠蔽ダーゲーム」というのも考えましたがあまり浸透していません。

『かくしてボクら兄妹は』のあそびかた

妹に先回りしてバスルームやリビング、キッチンなどの部屋を巡り、見られたら都合の悪いあれこれを次々隠蔽していきましょう。

部屋の怪しい箇所をクリックすると、アイテムが見つかって隠すことができます。

メガネが見つかった

うっかり隠しそびれたものが見つかってしまうと、妹に家を追い出されてしまいます。隠し漏れがないように注意しましょう。

最後の部屋まで隠し切れた時、妹の記憶は戻り、そして本当に「ボク」が隠したかったことがわかるかもしれません。

エンディングはバッドエンドとハッピーエンドの二つ。

難易度は低め。ミスっても直前からやり直せる親切設計です。30分程度で終わります。

『かくしてボクら兄妹は』ができるまで

『かくしてボクら兄妹は』の制作秘話……というと大袈裟ですが、どんな紆余曲折があったのかをお話しします。

白紙になったシナリオ

今回、シナリオはかなり難航しました。

一度全く違う物語を進めていたのですが、1ヶ月ほど考えた末に、にっちもさっちも行かなくなり、泣く泣くボツに。

(ちなみに村で唯一幽霊が見えない女の子と幽霊の男の子のお話でした)

まっさらになった状態で、新たなシナリオの種となったのが、ある楽曲の歌詞でした。

「歌詞からインスピレーションを受けてゲームを作った」と言いたい

その曲が、嵐の12作目のアルバム『LOVE』に収録されている『Hit the floor』(作詞:alleztune)。嵐のリーダー大野智さんのソロ曲です。

以下歌詞を一部引用。

Baby 知らない世界を見せてあげるよ

きっと気に入ってくれるさ Another world

君のことを悲しませることなら 一億年でも隠しきってみせるさ

Baby 露わに見せたその背中を 誰にも触れさせないから

窓の外は気にしちゃいけないのさ 二人を引き裂く罠がある

このままNever let you go

(とてもカッコいい曲なので是非音源も聞いてほしいです)

これを聞いて、なんとなく、

部屋に閉じ込められている何も知らない無垢な少女と、少女を閉じ込めている男

が浮かんだんですね。

そっから妄想を広げて、

「窓の外は気にしちゃダメ」ってことは、なにか少女に知られたらマズいものが窓の外にあるのかな

→きっと男はその窓の外の何かを少女に隠しているんだ

→しかもそれが「二人を引き裂く罠」だと、ふむふむ

→そうだ、世界は滅びていて、窓の外は荒野が広がっているに違いない

→男は少女に世界の滅亡を知らせたくないのだ

→世界が滅亡していると知ったらきっと少女は絶望する、もしかしたら死んじゃうかも

→そうなったら二人は永久に引き裂かれる

→だから男は少女に真実を悟られないよう必死に隠しているのだ

→1億年でも隠してみせるだなんて泣かせるねぇ

……とまぁこんな感じで、自分の中でどんどん盛り上がりました。

パンダ
パンダ
こうなったら、この妄想をゲームのシナリオにするしかない!(謎の思考回路)

と考えたのが、『かくしてボクら兄妹は』の第一歩目です。

ただ、いいアイディアが出たからというよりは、「歌詞からインスピレーションを受けてゲームを作った」と言いたいスケベ心があったことは否めません。だってなんかそういうのクリエイターっぽくてカッコイイじゃないですか……。

プレイヤー視点をどこに置くかで悩む

まず悩んだのがこのゲームの「プレイヤー視点」をどこに置くか

要するに、「男と少女のどちらを主人公にするか」ですね。

私が思うに、ゲームのいいところって「プレイヤーが自分で操作するから感情移入しやすいところ」なんですよ。

ドラクエやポケモンの主人公が喋らないのも、キャラクター性を失わせて「自分=主人公」とより感じさせたいからだと聞いたことがあります。たしか。

それを考えると、「真実を知っている男視点」より「何も知らない少女視点」の方が、作りとしてはわかりやすい。プレイヤーも主人公と同じく何も知らないところからスタートして、主人公と一緒に隠された真実を明らかにしていけるからです。

漫画でも、スポーツものなんかは主人公が全くの素人ってことが多いと思います。そうすると、読者も主人公と一緒に知識を習得したり上達したりできるから、より感情移入しやすいのでしょう。

「サッカーは手を使っちゃいけないんだよ!そんなことも知らないのか!」「なにー!!」みたいなやつですね。

今流行(?)の異世界モノも同じです。何も知らない主人公に異世界の住人がどういう世界か教えることで、読者も自然に世界観を把握できるわけです。

「何を驚いているんだ、ここいらでは魔法を使えないやつなんていないぞ!」とかいうセリフで「ああ、この世界ではみんなが魔法を使えるんだな」と読者に教える、なんてのがわかりやすいでしょうか。

というわけで、じゃあ少女視点の脱出ゲームにしようかな……といろいろ考えてみました。

しかしながら、今回私がゲームでやってみたかったのが「信頼できない語り手」だったのです。これが「何も知らない主人公」となかなか両立せず難航しました。

信頼できない語り手とは、小説や映画で使われる叙述トリックの一種。語り手の曖昧さや不正確さで読者や観客を騙す手法。

例えば、一人称の小説の主人公が実は事件の犯人だったってパターンですね。主人公が何も知らないようでいて、実は謎の答えを持っているという叙述トリックです。(間違っていたらごめんなさい)

この「信頼できない語り手」という手法は、推理モノとしてはズルと感じる人もいるとかで賛否あるらしいのですが、私はすごく好きなんですよね〜。

初めは普通に主人公に感情移入していたのに、だんだん「おや?」「あれ?」って違和感が積み重なって、最後にどんでん返しになるという展開。大好きですね〜。

あと「信頼できない語り手」っていうネーミングがカッコイイ。ハンターハンターの技名みたいで中二心をくすぐられます。

「感情移入」と「信頼できない語り手の妙」とで悩んだ結果、後者を取りました。あとは元々のキッカケである歌詞が男目線だったので、それを貫きたかったというのもあります。

悲しすぎるのはNG

続いて、話の根幹部分。

先述した歌詞を元に「世界の滅亡を隠そうとしている男とそれを怪しむ少女」という内容でシナリオを進めていました。

まず考えたのが、少女に外を見せないように、窓という窓にシャッターを下ろし、扉という扉に鍵を掛けるゲームにしてはどうかということ。窓や扉の他には、古い本や科学者の研究資料も置いておいて、世界の滅亡を匂わせるようにします。

そしてラスト、実は世界は滅亡していたのでしたとプレイヤーにネタバラシしておしまい。

プレイしていただいた方にはわかると思うのですが、これが『かくしてボクら兄妹は』の原型になったわけですね。

しかしここで問題が!

パンダ
パンダ
明かされた真実が世界滅亡って悲しすぎる

もちろん悲しい事実だからこそ隠しているんですけど、

パンダ
パンダ
隠せばOKってレベルの話なのか?世界滅亡って……

と悲しくなったので、方向転換を決めました。

他にも、地球が汚染されたから何も知らない少女を連れて宇宙船で脱出していたのだ、というのも考えました。

窓の外が荒野か宇宙かの違いですね。

これはSF的な難しさがあって断念しました。宇宙でどう暮らすのかとか、ロケットはどう飛ぶのかとか、考え始めるとキリがなく……。

あんまり適当なことを書いて、「こんなことはありえない!」と違和感を持たれちゃうとストーリーに集中してもらえなくなりますからね。SF警察も怖いし……。あとこれも話が悲しすぎるのでNG。

結局、世界は滅亡させないし宇宙にも行かない方向で話を進めることに決めました。

実際どういうシナリオになったのかは是非プレイしてみてください!

***

このように紆余曲折した結果、「かくしてボクら兄妹は」のシナリオはできあがりました。

結果、できたものがゲームとして正解だったかは微妙ですが、自分のスキルや発想力としては最善を尽くした……と思っています。

背景が描けない

今回のゲームでは「背景の部屋の中の怪しいところをクリックする」というのがメインだったので、背景が非常に重要でした。

私はあまり背景にこだわりがなく、今まで作った2作でもフリー素材をお借りして、ずいぶん適当に当てていました。まぁシナリオやキャラクターの方が重要だと考えていたのです。

しかし今回はそうもいきません。「ゲームに沿った背景」が必要なのです。

そこで一念発起して背景を描いてみることにしたのです、が……

パンダ
パンダ
あっ、これは無理だ……

※ちなみに上の画像は、1時間ほどイラレで格闘した結果の産物です。

これ、自分の上達を待ってたら間に合わない。さすがに気付きました。むしろ早めに悟った自分を褒めたい。

いや、もちろん努力はしたんですよ!「これでOK!背景の書き方」みたいな本を読んだり!遠近法とか透視図法とか勉強したり!でもこれが限界だったんです!!!

止むを得ず、方針を変えることにしました。

「ゲームに沿った背景」じゃなく、「背景に合わせたゲーム」を作ろう

探してみたらあるもので、AdobeStockにいい感じに使えそうな背景がありました。

それがこれ↓

やっぱりプロすごい。

実際にはプロかはわかりませんが(たぶん海外のお方)、なんにしてもすごい。かわいい&オシャレ!!!

途中でキャラデザを変える

もうこのキュートな背景に全てを委ねるしかないと、途中まで作っていたキャラクターデザインを変えました。

背景に合わせて主線を省略。顔立ちもちょっとポップに変えました。別人ですね。

あと隠すアイテムや、アイテムを隠す場所も背景に合わせました。「背景イラストのここに棚が書いてあるから、棚になにかを隠そう」とか。あるものでなんとかする精神って大事!!

当時のつぶやき↓

正直これは大正解だと思っています。ゲームの感想でも、

外国アニメのような背景グラフィックが好き

ゲーム全体の絵本のような雰囲気が素敵

ポップなグラフィックが可愛く、クオリティが凄い

などなど、背景を褒めていただくことが本当に多かったです。

ありがとう、海の向こうの人〜!!すごく褒められてるよ〜!!

いいタイトルができた

そんなこんなで、なんとかできあがったクリック隠蔽ゲーム『かくしてボクら兄妹は』。

実は一番気に入っているのがタイトルです。

私はキャラクターでもなんでも名前をつけるのがすごく苦手なのですが、今回はわりと苦労せずにできました。

プレイヤーの方で、

「『かくして』が「こうして」と「隠して」のダブルミーニングになっていて素敵ですね」

と気づいてくれる方がいらっしゃって、とても嬉しかったのを覚えています。

『かくしてボクら兄妹は』ができてから

『かくしてボクら兄妹は』は2019年8月29日に完成し、そのままティラノゲームフェス2019に出品しました。

今まで作ったゲームは結構ギリギリなスケジュールだったのですが、なんと今回はフェス〆切2日前に完成という快挙!(諦めがよくなったとも言う)

感想とファンアートを多数いただきました

2020年2月の時点で500ダウンロード以上されていて、たくさんの感想をいただきました。

以下、いただいた感想を抜粋。

途中不穏さを感じましたがハッピーな気持ちで読了。良きお兄ちゃんでした。

探索パートも、意外なものがあったり、出てくるメッセージが面白かったり、ぽちぽちクリックしていくのが楽しかったです!

難易度は高くなく、ゲームオーバーになってしまっても直前の探索に戻れる親切な設計をしているので、気軽にプレイできると思います。

可愛らしい見た目なのに、「これは何かあるぞ……」という不穏な空気が漂ってきて、真相を知りたくてたまらなくなります。ラストの種明かしは爽快でした……! 読後感も良く、おすすめの一作です。

兄が妹に嫌われないように必死に動き回るコメディかな、と油断していたら、最後に秘密が判明してとても切なくなりました。

妹ちゃんはセリフごとに顔と体がくるくる変わるし、お兄ちゃんはキモあやしくて最高です。

お兄ちゃんがただの変態さんじゃなくてよかった!

「兄が変態」という感想が多く、作者としてはまさに「計画通り!」といった感じです。嬉しい。

こうして改めて読むと、いただいた感想の数に驚くとともに、皆さんの言葉選びの巧みさをしみじみ実感しました。ネタバレは避けつつ、絶妙にやってみたいと思わせる文章なんですよね〜。天才なの?

あと、今回はファンアートも3人の方にいただきました。自分の作ったもので二次創作してもらえるなんて……感無量です!!どれもすっっっごくかわいいイラストでした。皆見た方がいい。間違いなく天才。

ファンアートをたくさん描いてもらえるような土壌をつくったティラノ運営側さんにも感謝ですね。

皆様本当にありがとうございました!

▼他の感想とファンアートを見たい方はこちら▼

https://novelgame.jp/games/show/2294

今年も佳作受賞!

有難いことに、今年のティラノゲームフェスでも佳作をいただくことができました!!!

なななんと、今回で2017年、2018年に続いて3回目の受賞!

皆さんのおかげです!ありがとうございます!!

ティラノゲームフェス2019全体の感想は別で記事を描いたので、興味ある方は読んでみてください↓

ティラノゲームフェス2019結果発表!今年も佳作をいただきました年1ペースでゲームを作っています。moz(もず)です。 2月14日、ノベルゲーム開発コンテスト「ティラノゲームフェス2019」の結...

『かくしてボクら兄妹は』攻略法

最後に、『かくしてボクら兄妹は』の攻略法を載せておきます。

正直、今回は難易度を低くすることを目標のひとつにしていたので、「攻略法」というほど難易度が高くありません。部屋の怪しいところをぽちぽちしていれば終わります

というと終わってしまうので、部屋ごとの隠れているものの数を書いておきます。

各部屋で下記の数のアイテムが見つかっていない場合は、まだ隠れているアイテムがあるはずです。そのまま進むとバッドエンドに進んでしまうので、もう少し探してみてください。

ROOM1:1コ

ROOM2:2コ

ROOM3:2コ

ROOM4:3コ

ROOM5:4コ


以上、『クリック探索ゲーム『かくしてボクら兄妹は』の制作秘話・攻略法』でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!今まで作った自作ゲームは全て制作秘話・攻略法のページがあるので、よかったら読んでいってくださいね〜。

 

ABOUT ME
moz
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2017年頃から年1のペースで気まぐれにゲーム制作をしている。 趣味は漫画とラジオ。好きなものは甘栗。 インスタではエッセイ漫画を公開中。 記憶力に乏しい。